逃亡

日本中を震撼させた、連続企業爆破事件が多発したのは、1974年8月から1975年5月にかけて。『東アジア反日武装戦線』が日本国家をアジア侵略の元凶とみなし、アジア侵略に加担しているとされた企業に対し、断続的に爆破物を仕掛けた。当時はニキビ面の高校生。オツムのネジが2本も3本も外れていたので、どうしてこんな迷惑な事をするのか、まるで理解出来なかった。

その『東アジア反日武装戦線』のメンバーである桐島聡容疑者が今月、神奈川県鎌倉市の病院に入院した際、健康保険証を提示せず「ウチダ」と名乗ったが、後日、病院関係者に「自分は桐島聡」と明かしたと云うのだ。病名は末期の胃がんで、容体は重篤だという。聞き取りにもまともに答えられない状態で、黄泉の国からオイデ、オイデをされているらしい。

昔、デビット•ジャンセンが演じた『逃亡者』と云うUSAのテレビドラマがあった。バリー・モース演じるジェラード警部が、蛇も顔負けの執念でデビット•ジャンセンを追い詰めるも、間一髪のところで逮捕を逃れる繰り返し。ヒューマンストーリー有り、プチロマンス有りで、まだオチンチンに毛も生えていない、小学生低学年だったが、毎週、テレビに齧り付いて見ていた記憶がある。

桐島悟、端正な顔立ちのデビット•ジャンセンと比べると、月とスッポン、釣鐘と提灯、鯨とメダカぐらいの差がある不細工野郎だが、逃げも逃げたり足掛け50年。大逃亡の末が胃がんとしても、天寿を全うするならば、被害に会った人や家族は浮かばれない。神も仏ないと云う事であろう。

「ヨッシャ!デケタ!地球を3周しても、そのまま!そのまま!どれでもいい」北新地の盆暗が右手を高々と上げる、神戸市東灘区午後3時半過ぎ。3頭立てと云いきった『東海S』。ヴィクティファルス、オメガギネス、ウィリアムバローズが直線で抜けての必勝体制だから熱い。レース後、「1人勝ち祝いだ!」と近所のスーパー『LIFE』まで、後ろにひっくり返るんじゃないかと思うほど、威張ってステーキ肉を買いに行ったと云うのだから漫画みたいなオッサンだ。それが先週、日曜日の話しである。

「マスター、本線的中おめでとうございます。これで4週連続的中。やれば出来るじゃないですか」は、プライム企業で禄を喰み、春の賃上げが今から楽しみと嘯く競馬友達のK君。「まあな、一回ガミ興行を打ったが、とにかく当たりゃ〜何とかなるって事だ。去年なんて、焚き火に毎週5万ぶち込んでたのに、勝負事は不思議なもんだ。しかし俺も意気地がねえよ。3頭だてと判ってたんだ。3連複を1万でも買っていたら提灯行列まであったぜ」。いくら勝てば官軍と云っても、恥知らずにもほどがある。

「今日は『根岸S』ですか?『シルクロードS』ですか?」「本来なら、お世話になっている馬主さんの愛馬ケンシンコウとフルムが出る『根岸S』なんだろうが、将雅のエンペラーワケア、康太のサンライズフレーム、脩のタガノビューティーがむちゃんこ強い。ピュアな応援に徹しよう」「じゃあ、『シルクロードS』ですね」「ああ、任せろ!と云いたいところだが、このレースは難解。淀の1200は展開一つ、しかもフルゲートのハンデ戦。何が来るかレースが終わってみるまで判らねえ」

「なる程ですね。逃げるのはテイエムスパーダ、それをリバーラ、オタルエバーが追いかける展開、その後に控えるのがルガル辺り、追い込んで来るのはアグリ、バースクライでしょう」「シャラップ!そんな事は競馬をやってる人間なら誰でも知ってるよ.問題は馬券をどう買うかって事だろう。先行馬の後ろに付けて虎視眈々、淳也のルガル信頼。淀大好きなのもいい。発表!馬連流しルガルから本線は瑠星のアグリに2万、ルメールのエターナルタイム、望来のバースクライ、弘平のオタルエバーへ平に1万でどうだ」

「大逃げ、富田Jのテイエムスパーダは怖くないですか?」「怖い、大いに怖いが、淳也が早めに潰しに行くのを期待だ。やつも最近はいい馬に乗らせてもらっているせいだろうが、めっきり腕を上げてる」とひとくさり。何処ぞのテロ容疑者みたいに、富田Jに大逃亡劇を演じられなければいいのだが……..さて。

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